片頭痛の予防治療が変わる!注目のCGRP関連製剤とは?
大阪市淀川区のながしま脳神経外科リハビリクリニックは、日本脳神経外科学会専門医による、軽度の頭痛から脳卒中まで幅広く診療する脳神経外科クリニックです。頭痛やめまい、しびれといった神経症状から、脳卒中後のリハビリテーションまで、幅広く脳神経疾患にご対応しています。
片頭痛の治療というと、痛みが出たときに薬を飲む、というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし近年、頭痛そのものを起こりにくくする予防治療の考え方が広がり、新しい選択肢も増えてきました。今回は、片頭痛の予防治療と、その中でも注目されているCGRP関連製剤についてお伝えします。
片頭痛の予防治療とは
片頭痛治療には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
頭痛が起きたときに痛みを和らげる急性期治療
市販の鎮痛薬やトリプタン系薬剤などがこれにあたります。
頭痛の発作そのものを起こりにくくすることを目的とした予防治療
薬を毎日または定期的に使用することで、頭痛の頻度や強さを減らすことを目指します。
予防治療を検討する場合の目安
• 月に4日以上、頭痛で日常生活に支障をきたしている
• 急性期治療の薬が十分に効かない
• 頭痛薬を使いすぎてしまっている
• 頭痛が起きるたびに仕事や学校を休むことがある
診察の中でよく感じるのは、予防治療の存在を知らずに、痛みが出るたびに鎮痛薬を飲むことを繰り返してきた方が非常に多いということです。
予防治療によって頭痛の頻度が大きく変わる方もいらっしゃいます。
CGRPとは何か
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、脳内に存在する神経ペプチドの一種です。片頭痛の発作が起きるときに、このCGRPが大量に放出されることが分かっており、片頭痛の発症に深く関わっていると考えられています。
つまり簡単にお伝えすると、CGRPは片頭痛を引き起こす仕組みに関係している物質なのです。このCGRPの働きを抑えることで、片頭痛の発作を予防しようというのがCGRP関連製剤の考え方です。
CGRP関連製剤の特徴
CGRP関連製剤は、片頭痛の予防を目的として開発された比較的新しい治療薬です。従来の予防薬とは異なり、片頭痛の発症メカニズムに直接働きかける点が特徴です。
副作用が比較的少ない
従来の予防薬(降圧薬や抗てんかん薬など)は、眠気や体重増加、集中力の低下といった副作用が問題になることがありました。CGRP関連製剤はこれらの副作用の報告が比較的少なく、日常生活への影響が出にくいとされています。
効果の実感が早い
従来の予防薬は効果が出るまでに数週間から数ヶ月かかることがありますが、CGRP関連製剤は比較的早い段階で効果を実感できる方も多くいらっしゃいます。
注射薬と内服薬がある
CGRP関連製剤には注射薬と内服薬の2種類があります。
ただし、すべての方に効果があるわけではなく、また費用面での負担も大きくなります。そのため誰にでもおすすめできる薬というわけではありません。
注射薬と内服薬の違い
注射薬(抗CGRP抗体製剤)
注射薬は月に1回または3ヶ月に1回の皮下注射で使用します。当院では次の製剤を採用しています。
| アジョビ®️(フレマネズマブ) | • 月1回または3ヶ月に1回の注射 • 自己注射も可能 |
| アイモビーグ®️(エレヌマブ) | • 月1回の注射 • 自己注射も可能 |
| エムガルディ®️(ガルカネズマブ) | • 月1回の注射 • 自己注射も可能 |
自己注射が可能な製剤については、医師の指導のもと、自宅で注射を行うことができます。毎月クリニックに来院する必要がなく、生活リズムに合わせやすいというメリットがあります。
内服薬(CGRP受容体拮抗薬)
内服薬は毎日服用する錠剤タイプです。当院では次の製剤を採用しています。
| アクイプタ®️(アトゲパント) | • 毎日服用するタイプ |
| ナルティーク®️(リメゲパント) | • 隔日服用するタイプ |
内服薬は注射に抵抗がある方や、自己注射が難しい方にとっての選択肢となります。
従来の予防薬も大切な治療の選択肢です
CGRP関連製剤が登場したからといって、従来の予防薬が古くなったわけではありません。降圧薬(カルシウム拮抗薬など)、抗てんかん薬、抗うつ薬など、従来から使用されてきた予防薬も、現在も多くの患者さまに効果が期待できる治療として活用されています。
長年使用されてきた実績があり、効果や副作用のデータが豊富に蓄積されているという点も、従来薬の大きな強みです。費用負担も比較的小さく、保険診療の範囲内で治療を続けやすいというメリットもあります。
どちらの治療が適しているかは、患者さまの状態や生活背景やご希望によって異なります。
費用について
CGRP関連製剤は健康保険が適用されますが、従来の予防薬と比べると費用負担が大きくなります。3割負担の方の場合、通常の維持治療では、薬剤費だけで1か月あたりおおむね11,000~14,000円程度が目安となります。なお、薬剤や投与方法、初回投与などによって負担額は異なり、別途診察料などがかかります。
費用が高いから効果が高いとは限りませんし、費用負担が大きいからといって避けるべき治療でもありません。頭痛による仕事や学校への影響、生活の質の低下なども含めて、トータルで考えることが大切だと思っています。
1.8. 当院での片頭痛治療の考え方
片頭痛の予防治療において、どの薬が最も優れているということはありません。
大切なのは、その方の状況に合った治療を選ぶことです。
診察でお聞きすること
• 頭痛の頻度や強さ
• これまでの治療経過
• 日常生活への影響
• 費用面のご希望 など
これらを丁寧にお聞きします。
そのうえで、従来の予防薬から始めるのか、CGRP関連製剤を検討するのか注射薬と内服薬のどちらが生活スタイルに合っているかなどを患者さまと一緒に考えていきます。
困っているということを正直に話していただくことが、治療の出発点です。
薬の種類や費用について気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。
片頭痛の治療法はひとつではありません
片頭痛の予防治療には、従来から使われてきた薬に加え、CGRP関連製剤という新しい選択肢が加わりました。どちらが優れているというものではなく、患者さまの状況に合わせて選ぶことが重要です。
当院では、頭痛の頻度や症状、これまでの治療経過、生活背景、費用面なども含めて総合的に判断し、患者さま一人ひとりに適した治療をご提案しています。予防治療について気になる方は、一度ながしま脳神経クリニックまでご相談ください。
