脳卒中

脳卒中とは

脳卒中とは

脳卒中(のうそっちゅう)は、突然に脳の血管が詰まったり(梗塞)、破れたり(出血)することにより、脳の一部に障害をきたす病気の総称で脳血管障害とも言います。突然、片側の手足が動かしづらくなる、言葉が出にくくなる、視界が欠けるなど、さまざまな症状が現れます。日本では寝たきりや要介護の原因の上位を占めており、重症の場合には命に関わることもあることから、早期発見・早期治療が非常に重要です。脳卒中は、大きく「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つに分けられます。

脳卒中の危険因子

脳卒中にはいくつかの危険因子があります。まず基礎疾患として、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動などの心臓病が挙げられます。これらは血管を傷めたり血栓を作りやすくし、脳梗塞や脳出血のリスクを高めます。次に生活習慣として、喫煙、過度の飲酒、運動不足、肥満、塩分や脂肪の多い食生活、強いストレスなどが関与します。これらは基礎疾患を悪化させる要因にもなります。脳卒中は予防が大切な病気です。

脳卒中の代表的な症状

脳卒中を発症すると、症状が突然現れることが特徴です。代表的な表情は片側の手足や顔のしびれ、麻痺、言葉が出にくい、ろれつが回らない、視野が欠けるといった症状がみられます。頭痛や吐き気、意識障害を伴うこともあります。

脳卒中の診断と治療の流れ

少しでも疑わしい症状があれば、簡単な問診と神経学的診察を行い症状の経過や身体の状態を確認したのち、すぐにMRI検査を実施します。MR検査は、脳卒中診断に非常に有用な検査で、急性期脳梗塞や脳出血・くも膜下出血などの特定に役立ちます。症状や病状によりますが、入院加療が必要な急性期脳卒中と診断された場合は、専門病院に連絡しながら救急車を手配し患者さまを搬送します。時間との勝負である脳卒中は、この迅速な対応・連携が予後を大きく左右します。

当院における脳卒中後のリハビリテーション

脳卒中後のリハビリテーションは、失われた機能の回復や生活の質の向上・維持を目指す重要なプロセスです。当院は、医療保険下での外来リハビリテーションに加え、介護保険下での通所リハビリテーション(通称;デイケア)と訪問リハビリテーションも実施しています。理学療法士(国家資格)、作業療法士(国家資格)、言語聴覚士(国家資格)が常時在籍しており、患者さまのニーズに合わせたプログラムを組み個別リハビリを実施します。発症後6ヶ月程度は脳の可塑性が高い時期ですので、積極的に機能回復を目指したリハビリテーションを行います。それ以降も適切なリハビリテーションを継続することで機能維持・向上が期待できます。日常生活動作(QOL)向上と社会参加の促進を重視してリハビリテーションに取り組んでいます。

脳卒中の再発予防

脳卒中は再発リスクが高い疾病です。医師から処方された薬は確実に服用することが重要です。血圧や血糖値、コレステロール値などの管理も重要です。当院では糖尿病内科外来、循環器内科外来も設けており脳卒中再発予防にも力を入れています。

脳梗塞とは

脳梗塞(のうこうそく)は、脳の血管が血のかたまり(血栓)や動脈硬化などによって詰まり、血流が途絶えることで脳の一部が障害を受ける病気です。脳は酸素や栄養を絶えず必要とするため、血流が止まると数分で神経細胞が傷つき始めます。症状は発症部位により異なりますが、片側の手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、視覚障害などが代表的です。脳梗塞は大きく「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」「ラクナ梗塞」の3つに分類され、それぞれ原因や特徴が異なります。高齢化や生活習慣病の増加に伴い発症数も増加傾向にあり日本人の主要な脳卒中の原因となっています。

アテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化で脳の血管が狭くなり、血栓が詰まって血流が途絶えることで起こります。高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などが主な危険因子です。症状としては、突然の片麻痺(手足が動かしにくい)、構音障害(呂律が回らない、話しにくい)、失語などが代表的で、重症の場合は意識障害を伴うこともあります。治療は発症直後にt-PAや血栓回収を行い、その後は抗血小板薬や生活習慣の改善で再発予防を行います。予後は早期治療により改善する場合もありますが、後遺症が残ることもあり注意が必要です。

心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症は、心臓でできた血栓が血流にのって脳の血管を突然ふさぎ、脳梗塞を起こす病気です。血栓は、心房細動という不整脈によって心臓内の血液がよどむことでできやすくなります。高齢者に多く、心筋梗塞や心臓弁膜症なども危険因子です。特徴として、他の脳梗塞に比べて広範囲の梗塞となることが多く、片麻痺、構音障害や失語に加え、重い場合は意識障害を伴います。そのため重篤な症状をきたし、重度の後遺症が残ることも少なくありません。治療は発症早期のt-PA静注療法や血栓回収療法が中心で、再発予防には抗凝固薬の内服が重要です。心臓病の適切な管理が予防につながります。

ラクナ梗塞

ラクナ梗塞は、脳の深部にある細い血管が詰まって起こる小さな脳梗塞です。原因の多くは高血圧で、長年の血圧上昇により血管が硬くもろくなり、閉塞してしまいます。症状は比較的軽く、片麻痺やしびれ、構音障害(話しにくい、呂律が回らない)などが代表的ですが、大きな意識障害を起こすことは少ないとされています。しかし繰り返し発症すると、脳全体の機能が低下し、認知機能障害につながることがあります。治療は抗血小板薬や危険因子の管理が中心で、特に高血圧のコントロールが重要です。早期に生活習慣を見直すことで再発予防につながります。

脳出血とは

脳出血は脳の血管が破れて脳の内部に出血が起こる病気です。出血により周囲の脳組織が圧迫され、急激な神経障害を引き起こします。特に高血圧と深く関係し、生活習慣病を放置している方に発症しやすいのが特徴です。脳梗塞に比べ突然の発症が多く、意識障害や重篤な後遺症につながることも少なくありません。

脳出血の原因と危険因子

最も大きな要因は高血圧で、長年の血管への負担によって小さな血管が脆くなり破れて出血します。そのほか、糖尿病や脂質異常症、喫煙、過度の飲酒、加齢も危険因子です。また抗血小板薬や抗凝固薬を服用している場合は出血が拡大しやすく注意が必要です。まれに脳動静脈奇形や脳腫瘍、アミロイドアンギオパチーなどが原因となることもあります。これらを予防・管理することが脳出血の予防につながります。

脳出血の症状

出血部位や量により症状は異なりますが、代表的には突然の片麻痺(手足の動きにくさ)、言葉の障害、しびれ、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などがあります。出血が多いと脳内圧が急上昇し、脳全体が圧迫される脳ヘルニアという危険な状態に陥ることがあります。脳ヘルニアは生命を脅かす緊急事態であり、迅速な治療が不可欠です。

脳出血の再発防止とリハビリテーション

脳出血の予後は出血量や部位、治療開始までの時間で大きく変わります。小さな出血であれば保存的治療で改善が期待できますが、大量出血や脳ヘルニアを伴う場合は死亡率が高く、重度の後遺症を残すこともあります。再発防止には血圧管理が最も重要で、生活習慣の改善や薬物療法を継続することが欠かせません。また後遺症に対しては、リハビリテーションを早期から継続的に行うことで機能回復や生活の質の向上が期待されます。

くも膜下出血とは

くも膜下出血は、脳を覆う膜の一つである「くも膜」と「軟膜」の間に出血が起こる疾患です。脳動脈瘤の破裂が主な原因です。突然発症し、強烈な頭痛や意識障害を引き起こし生命に危険が及ぶことが少なくありません。脳梗塞や脳出血に比べ比較的若年層にも起こることがあるjことも特徴の一つです。救急医療の中でも最も緊急性が高い病気のひとつです。

くも膜下出血の原因と危険因子

主な原因は脳動脈瘤の破裂であり、くも膜下出血の約8割を占めます。その他、脳動静脈奇形、頭部外傷、血液疾患などが原因となる場合もあります。危険因子としては高血圧、喫煙、過度の飲酒、遺伝的素因、加齢などが知られています。脳動脈瘤は破裂するまで症状を示さないことが多く、未破裂の状態で発見されることは少ないため、予防や早期発見が難しい病気です。

くも膜下出血の症状

代表的な症状は「今まで経験したことのないような激しい頭痛」です。発症と同時に嘔吐や意識消失を伴うことも多く、けいれんや項部硬直(首の強いこわばり)がみられる場合もあります。出血の量が多いと脳圧が上昇し、脳ヘルニアを起こして急速に悪化する危険性があります。軽症で発症しても、短時間で重症化する可能性が高いため、迅速な救急対応が不可欠です。

一過性脳虚血発作

脳卒中は突然発症し、命や生活に大きな影響を及ぼす病気です。その前触れとして現れることがあるのが一過性脳虚血発作(TIA)です。手足の片麻痺や構音障害(呂律が回らない)、失語などの症状が一時的に出て数分から数十分で消えるのが特徴です。症状が消えたからといって安心はできません。TIAの後には本格的な脳梗塞が起こる危険性が高いため、早期の受診と精密検査が極めて重要です。

脳動脈瘤

脳動脈瘤とは、脳の動脈の一部がこぶのように膨らんだ状態のことです。未破裂の段階では自覚症状がなく、健康診断や脳ドックの画像検査で偶然発見されることが多いですが、多くは気づかれないまま経過します。破裂するとくも膜下出血を起こし、強い頭痛や意識障害を伴い、致死率が高く重篤な病気となります。好発年齢は40~60歳代で、女性にやや多いとされています。治療は破裂前後や瘤の大きさ・部位などで判断され、代表的な外科的治療にはクリッピング術(動脈瘤の根元を金属クリップで閉じる方法)や、カテーテルを使ったコイル塞栓術(動脈瘤内にコイルを詰めて血流を遮断する方法)があります。早期発見と適切な治療が予後に大きく関わります。

脳卒中の検査・治療・リハビリテーションなら

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ながしま脳神経外科リハビリクリニックでは、急性期脳卒中の診断と適切な治療、また回復期病院を退院後の継続的なケア、この両面から脳卒中に対応可能です。急性期脳卒中の患者さまは、必要に応じて入院設備のある専門病院をご紹介します。回復期・維持期の患者さまに対しては、外来診療において再発予防の投薬・体調管理を中心に、リハビリテーションも行っています。地域の「脳のかかりつけ医」として、長期的な視点で患者さまの脳の健康をサポートしています。大阪市淀川区周辺で脳卒中の治療や再発予防をお考えの方、ご家族に脳卒中の経験者がいる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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