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頭痛について

頭痛は誰にでも起こり得る症状ですが、その背景にはさまざまな原因があります。中には命に関わる重大な病気が隠れている場合もあるため、自己判断で済ませず、専門医による診察を受けることが大切です。
頭痛の種類と特徴
頭痛は大きく分けて「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類されます。
一次性頭痛
頭痛そのものが病気であり、ほかの疾患が原因ではないものです。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛がこれにあたります。多くは慢性的に繰り返すのが特徴です。
二次性頭痛
くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎など、他の病気が原因で起こる頭痛です。中には緊急の治療が必要なケースも含まれます。
二次性頭痛が疑われるケース
以下のような症状がある場合は、早めの医療機関受診をおすすめします。
● 発熱や全身のだるさを伴う
● がんなどの持病がある
● 意識がぼんやりしている、言葉が出ない、麻痺がある
● 急に激しい頭痛が始まった
● 50歳以降に初めて頭痛が現れた
● これまでに経験のない頭痛
● 姿勢や動作で頭痛が変化する
● 妊娠中や出産直後の頭痛
慢性的な一次性頭痛について
片頭痛
偏頭痛は片側や両側にズキズキした頭痛が発作的に起こる病気で、光や音に敏感になったり吐き気を伴うこともあります。若年〜中年の女性に多く、ストレスや睡眠不足、ホルモン変動、特定の食品が誘因になることがあります。治療は薬物療法や生活習慣の改善が中心です。
片頭痛の前兆
最も一般的な偏頭痛の前兆は、閃輝暗点です。発作の数分前に視界の一部がギザギザした光や点滅として現れる症状です。これに続いて片側の頭部にズキズキとした痛みが生じ、吐き気や音・光への過敏などを伴うことがあります。前兆がないタイプもあり個人差がありますが、前兆が現れた際には、暗く静かな場所で休息をとることが効果的です。また、発作の頻度や強度を減らすために、生活習慣の改善や医師による適切な治療が重要です。
片頭痛の急性期治療
片頭痛の急性期治療の目的は、発作が起こった際に痛みを速やかに軽減することです。軽症では市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)で対処できる場合がありますが、重症例では効果が不十分なことも多く、トリプタン製剤やラスミジタンなどの処方薬が推奨されます。片頭痛では吐き気を伴うこともあり、必要に応じて制吐剤を使用します。なお、急性期薬の過剰使用は薬物乱用頭痛の原因となるため注意が必要です。日常生活に支障がある場合は早めにご相談ください。
片頭痛の予防治療
片頭痛の予防治療は、発作の回数や症状、持続時間を減らし、日常生活への影響を軽減することが目的です。特に月5日以上の発作や日常生活に支障がある場合、急性期薬で効果が不十分な場合に検討されます。予防薬には毎日服用する内服薬と、月1回程度の注射薬があり、副作用の少ない低用量から開始します。効果の判断には通常2~3か月が必要です。
新しい片頭痛の予防治療~CGRP関連製剤~
近年、片頭痛の予防治療として注目されているのがCGRP関連製剤です。CGRPは片頭痛発作に関与する物質で、これを標的とした治療により発作の回数や重症度を効果的に抑えることができます。国内で使用されている主な薬剤には、エムガルディ(ガルカネズマブ)、アジョビ(フレマネズマブ)、アイモビーグ(エレンマブ)があります。従来の内服薬に比べて発作予防効果が高く、副作用も少ないとされています。ただし、注射薬であることや費用が高額であることが課題です。当院でも多くの患者様にご使用いただき、高い効果と安全性が評価され、日常生活の改善に喜ばれています。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭全体や後頭部を締め付けられるような鈍い痛みが持続する頭痛です。長時間のデスクワークやストレス、姿勢不良が誘因となることが多く、吐き気はあまり伴いません。生活習慣の改善や適度な休息、痛み止めで症状を和らげます。
緊張型頭痛の症状
代表的な症状は「今まで経験したことのないような激しい頭痛」です。発症と同時に嘔吐や意識消失を伴うことも多く、けいれんや項部硬直(首の強いこわばり)がみられる場合もあります。出血の量が多いと脳圧が上昇し、脳ヘルニアを起こして急速に悪化する危険性があります。軽症で発症しても、短時間で重症化する可能性が高いため、迅速な救急対応が不可欠です。
緊張型頭痛の治療と予防
鎮痛薬で症状が軽快することが多く、併せてストレッチや入浴、リラクゼーションが有効です。慢性化した場合は抗不安薬や抗うつ薬が使われることもあります。生活習慣の見直しや適度な運動、ストレス管理が予防に大切です。
群発頭痛
群発頭痛は、片側の目の奥やこめかみ周辺に激しい痛みが短時間に繰り返し起こる頭痛です。男性に多く、アルコールや睡眠不足が誘因になることがあります。涙や鼻水を伴うことが特徴で、発作時の治療や予防薬で症状の管理を行います。
群発頭痛の症状
一側の目の奥をえぐられるような激痛が特徴で、涙や鼻水、目の充血など自律神経症状を伴います。発作時にはじっとしていられず、動き回るほどの強い痛みに襲われます。
群発頭痛の治療と予防
急性期治療には高濃度酸素吸入やトリプタン製剤が用いられます。発作期が予測される場合にはカルシウム拮抗薬(ベラパミルなど)による予防療法が検討されます。飲酒や喫煙が発作の誘因になることが多く、生活習慣の見直しも重要です。
RCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)
RCVSは、脳の血管が一時的にけいれんして強く収縮し、突然の激しい頭痛を引き起こす病気で、「雷鳴頭痛」とも呼ばれます。いきなり頭を殴られたような強烈な頭痛が特徴です。多くの場合は数週間から数か月で自然に改善する「可逆性」の疾患ですが、くも膜下出血や脳梗塞と症状が似ているため注意が必要です。
RCVSの症状
発作的に非常に強い頭痛が出現し、数分以内にピークに達します。頭痛は繰り返し起こることもあります。まれに脳出血や脳梗塞を伴う場合があり、神経症状を合併することもあります。発症は若年~中年女性に比較的多いとされています。
RCVSの治療
診断にはMRIやMRAによる脳血管の評価が必要です。血管の一過性の狭窄が確認されることで診断されます。治療は安静が基本で、血管拡張薬を使う場合もあります。多くは数か月以内に自然回復しますが、重症例では合併症予防のため専門的な管理が必要です。
薬の使いすぎによる頭痛
鎮痛薬やトリプタン製剤などの痛み止めを頻繁に使用していると、頭痛を和らげるつもりが、かえって悪化させてしまうことがあります。これを薬物使用過多による頭痛といいます。片頭痛や緊張型頭痛をもつ方に多くみられ、頭痛がほぼ毎日のように続く悪循環に陥ります。鎮痛薬やトリプタンを月10日以上、NSAIDsを15日以上使用している場合は注意が必要です。治療の基本は、原因となる薬剤の使用を医師の指導のもとで減らすことです。減薬中は一時的に頭痛が悪化することがありますが、徐々に頻度は減少します。また、基礎となる片頭痛や緊張型頭痛に対する予防薬の併用や生活習慣の改善が再発防止に有効です。自己判断での長期服用は避け、早めに専門医に相談することが大切です。
頭痛の診断と検査
頭痛の原因を正確に見極めるには、まずは問診と診察が基本です。症状の出方、持続時間、日常生活への影響などを丁寧に確認し、必要に応じて検査を行います。
MR検査
頭痛の原因を詳しく調べるため、当院では必要に応じてMR(磁気共鳴)検査を行います。MR検査は磁力と電波を使い、脳や血管の状態を詳しく画像化できる安全な検査です。
頭痛でお困りの方へ

ながしま脳神経外科リハビリクリニックでは、頭痛の種類や症状に応じて適切な検査を行っています。頭痛の症状が治まっている時でも、ご遠慮なくご相談ください。受診の際は、症状をより正確に把握するために以下の点をお知らせいただくと診察がスムーズです。
- ・頭痛はいつ、どのように始まったか
- ・持続時間や発作の頻度
- ・どんなとき、何をしたときに痛みが強くなるか
- ・痛む場所や痛みの性質、強さ
- ・学校や仕事への影響
- ・服用している薬や使用タイミング、量
大阪市淀川区で片頭痛や慢性頭痛にお悩みの方、突然の頭痛が心配な方は、どうぞお気軽にご相談ください。