その頭痛、ただの疲れではないかも?
頭痛の種類と受診の目安を専門医が解説
大阪市淀川区のながしま脳神経外科リハビリクリニックは、日本脳神経外科学会専門医による、頭痛から脳卒中まで幅広く診療する脳神経外科クリニックです。頭痛やめまい、しびれなどの神経症状から、脳卒中後のリハビリテーションまで、幅広く脳神経疾患にご対応しています。
頭痛は誰もが経験する身近な症状ですが、その原因はさまざまです。日々の診察の中で感じるのは、長年頭痛と付き合ってきた方の多くが、適切な診断と治療によって症状が改善できる状態にあったということです。今回は、頭痛の種類と受診すべきタイミングの目安について解説します。
頭痛には大きく2種類あります
頭痛は医学的に一次性頭痛と二次性頭痛の2種類に分けられます。まずこの違いを知っておくことが、頭痛と向き合う上で大切です。
一次性頭痛
一次性頭痛とは、頭痛そのものが病気であるタイプです。脳や体に器質的な異常(腫瘍や出血など)が見つからず、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などがこれにあたります。命に関わることは少ないものの、繰り返す痛みや強い症状により、日常生活の質(QOL)を大きく低下させることがあります。
二次性頭痛
二次性頭痛とは、何らかの病気や異常が原因で起こる頭痛です。くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎など、命に関わる疾患が原因となるケースも含まれます。全体の頭痛の中では少数ですが、絶対に見逃してはいけない頭痛です。
脳神経外科医として大切にしているのは、まずこの二次性頭痛を見落とさないことです。そのうえで、一次性頭痛に対しても適切な治療につなげることが、私たちの役割だと考えています。
一次性頭痛の種類と特徴
片頭痛
片頭痛はズキズキと脈打つような拍動性の痛みが特徴で、頭の片側に起こることが多いですが、両側に広がる場合もあります。光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりすることが多く、痛みの強さから日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。
発作は数時間から数日続くことがあり、発症前に閃輝暗点と呼ばれるキラキラとした光が見える前兆を経験する方もいます。20〜40代の女性に多く見られますが、男性やお子さまにも起こります。
診察していてよく感じるのは、片頭痛と気づかずに長年市販薬でしのいでいる方が非常に多いということです。
正しく診断がつくだけで治療の選択肢が広がります。頭痛の種類を見極めることが、治療の出発点です。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は頭全体が締め付けられるような、または重だるい痛みが特徴です。肩や首のこりを伴うことが多く、デスクワークや長時間のスマートフォン使用など、同じ姿勢を続けることで悪化しやすいとされています。
市販薬でやり過ごしている方も多いタイプですが、慢性化すると生活の質を大きく下げる要因になります。頻度が増してきたと感じたら、一度立ち止まって考えてみてください。
群発頭痛
群発頭痛は比較的まれな頭痛ですが、目の奥をえぐられるような激しい痛みが特徴で、頭痛の中でも特に痛みが強いタイプとして知られています。片側の目の奥や側頭部に起こり、1〜2時間程度の発作が数週間から数ヶ月にわたって毎日のように繰り返されます。男性に多く見られるタイプです。
この頭痛は危険?見逃してはいけないサイン
次のような頭痛が現れた場合は、脳や体の重大な病気が隠れている可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。
突然の激しい頭痛
これまで経験したことのないほどの激しい頭痛が突然起きた場合は、くも膜下出血の可能性があります。一刻も早く救急車を呼んでください。
徐々に悪化する頭痛
以前より頭痛の頻度が増えている、痛みが強くなっているという場合は、脳腫瘍など何らかの病気が進行しているサインである可能性があります。
神経症状を伴う頭痛
手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、視野の異常、意識の変化などを伴う頭痛は、脳卒中など緊急性の高い病気が疑われます。
発熱や首のこわばりを伴う頭痛
高熱と同時に起こる激しい頭痛、首を曲げると痛むといった症状がある場合は、髄膜炎などの感染症が疑われます。
50歳以降に初めて起こる頭痛
これまで頭痛がなかった方が中高年以降に新たに頭痛を経験した場合は、必ず原因を確認するようにしてください。
これらのサインは、経験を積んだ医師であっても常に意識して診察にあたっています。少しでも当てはまると感じられたら、すぐにご相談ください。
受診をおすすめするケース
危険なサインがなくても、次のような状況が続く場合は一度専門医にご相談ください。
• 頭痛が月に何度も繰り返されている
• 市販の痛み止めを週に2〜3日以上使用している
• 頭痛のために仕事や学校を休んだことがある
• 横になって休まないと回復しない
• 頭痛の頻度や強さが以前より変わってきた
• お子さまが繰り返し頭痛を訴えている
特に、市販薬を頻繁に使い続けている場合は注意が必要です。使いすぎることで薬「物乱用頭痛」と呼ばれる状態を引き起こし、かえって頭痛が慢性化してしまうケースがあります。
お子さまの頭痛はついつい成長期のものと思いがちですが、片頭痛はお子さまにも起こります。繰り返す頭痛で学校を休みがちになっている場合や、頭痛の頻度が増えている場合は、一度ご相談ください。
脳神経外科の受診について
ただの頭痛で病院に行ったほうが良いのでしょうか?
重篤な症状でなければ受診してはいけないということはありません。繰り返す頭痛や市販薬で改善しない頭痛も、十分な受診理由になります。
脳の病気が原因でないかを確認したうえで、頭痛のタイプに合わせた治療をご提案できるのが、頭痛外来・脳神経外科の役割だと考えています。
受診のタイミングに正解はありませんが、困っていると感じたときが相談のタイミングです。
MR検査で分かること、分からないこと
頭痛でクリニックを受診すると、MR検査をすすめられることがあります。MR検査では、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、脳動脈瘤など、脳の器質的な異常を確認することができます。頭痛が脳の病気からきていないかどうかを調べる上で、非常に有用な検査です。
一方で、MR検査で片頭痛や緊張型頭痛そのものを見つけることはできません。これらの一次性頭痛は脳の構造的な異常ではなく、神経の働き方や血管の変化によって起こるものだからです。
当院では、まず丁寧に診察をおこない、症状や経過をしっかり確認したうえで、本当に必要な方にMR検査をご提案しています。
検査はあくまでも診察の延長線上にあるものです。何でも検査をすればよいというものではなく、必要な方に必要な検査をおこなうことが、患者さまのためになると考えています。
一次性頭痛も、我慢しなくて大丈夫です
検査で異常がなかったから、この頭痛とは一生付き合っていくしかないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、一次性頭痛であっても、適切な診断と治療によって症状が改善するケースは多くあります。
片頭痛であれば、発作時の鎮痛薬(トリプタン系薬剤など)や予防薬の活用で、頭痛の頻度や強さが大幅に変わることがあります。
緊張型頭痛も、生活習慣の見直しや薬の適切な使い方で改善が見込めます。
頭痛で本当に困っている方に、困らなくなっていただくこと。
それが治療のゴールだと当院では考えています。我慢し続けるよりも、一度頭痛外来や脳神経外科の専門医に相談して原因を知ることが大切です。
当院での取り組み|頭痛ダイアリーの活用
受診の際に、頭痛の記録(頭痛ダイアリー)をお持ちいただくと、診察がよりスムーズになります。いつ、どのくらいの強さで、どんな状況で頭痛が起きたかを記録しておくことで、頭痛のパターンや引き金となる要因が見えやすくなります。
ただし、当院では記録の内容だけで診断を進めることはしていません。患者さまとの対話を最も大切にしており、どれだけ困っているか、どのように改善したいかをじっくりお聞きすることを診察の軸にしています。数値やデータだけでは見えてこない部分が、会話の中に必ずあるからです。
また、頭痛ダイアリーをつけることで頭痛を意識しすぎてしまい、かえってストレスになる方もいらっしゃいます。記録はあくまでも診療のサポートツールです。患者さまが頭痛から解放されて、日常生活を楽しめるようになることが、治療の本来の目的だと考えています。
頭痛は原因を知ることが大切です
頭痛にはさまざまな種類があり、その原因によって対処法はまったく異なります。
市販薬でなんとか対処をしている頭痛でも、適切な治療によって症状に改善が期待できることがあります。また、普段と違う頭痛が現れたときは、脳の病気が原因である可能性も否定できません。
当院では、患者さまの症状や状態を丁寧に診察したうえで、頭痛の原因を一緒に探っていきます。必要に応じてMR検査を活用しながら、患者さま一人ひとりに適した診療をご提案しています。「いつもの頭痛だから」と我慢せず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
